関西可積分系セミナー (2002年5月16日)
- 日時
- 2002年5月16日(木)15時-16時30分
- 場所
- 京都大学本部キャンパス工学部総合校舎206会議室
定兼知行 (京大総合人間)
2成分戸田階層とAblowitz-Ladik階層
Ablowitz-Ladik 階層 (ALH) は空間離散非線形 Schrodinger 方程式を含む微差分方程式系である.Vekslerchikは,ALH が空間離散非線形 Schrodinger 方程式のほかに2次元戸田方程式や KP 方程式など多くの重要な可積分方程式を含むことを指摘し,それを ALH と呼んだ.また ALH の母関数表現も得ている.
一方,Kharchev たちは相対論的戸田格子階層 (RTH) の諸相を論じる中で,ALH は RTH に等価であること,および ALH が1成分戸田格子のある種の逓減からえられることを導いているが,その議論は見通しがよくない.
本講演では,ALH および RTH が2成分戸田格子階層のA(1)1逓減に含まれることを自由フェルミオンとτ関数の枠組みで説明する.この結果から,ALH(RTH) を佐藤理論の中で理解することが可能になるだけでなく,最も単純な多成分離散可積分系の一つとして見ることができる.