京都大学大学院 情報学研究科 数理工学コース 応用数学講座
数理解析分野


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関西可積分系セミナー (2001年10月16日)

日時
2001年10月16日(火)15時-16時30分
場所
京都大学本部キャンパス工学部総合校舎406会議室
平岡裕章
Symmetry approch to the nealy integrable systems

物理現象において多くの場合可積分な方程式は非線形分散系の第一近似として得られが,さらなる精度を要求する場合には高次近似の項を考慮する必要がでてくる.このような可積分方程式に摂動項が加わった近可積分系に対する解析手法の一つに標準形解析がる.この方法は可積分方程式のシンメトリーの情報を用いて摂動論を展開しており,基本的な概念は有限次元力学系におけるバーコフの標準形理論と同じである.すなわち標準形解析とは,ある非線形変換 (リー変換) によって可積分系に摂動が加わった方程式を高次可積分方程式に変換し解析する方法である.利点としては,他の方法に比べて高次オーダーの計算が容易である点があげられる.また摂動項のソリトン衝突に及ぼす影響,例えば位相のずれ,輻射の発生,ソリトンの振幅の変化などの解析的側面にも威力を発揮する.本講演ではイオンプラズマ波を例として取り上げる.逓減摂動法によってイオンプラズマ波の方程式から KdV方程式に摂動項が加わった方程式が導出されることを示し,この方程式に対して標準形解析の基本的な考え方を解説する.最後に佐藤理論を用いてリー変換とミウラ変換の対応関係を明らかにし標準形解析の拡張が可能であるかどうか考察する.