京都大学大学院 情報学研究科 数理工学コース 応用数学講座
数理解析分野


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セミナー情報 (2010年1月27日)

日時
2010年1月27日(水)16時30分-17時45分
場所
総合校舎213講義室
高橋康人 (システム科学専攻)
並列化時間周期有限要素法を用いた高速電磁界解析

電気機器の設計において,物理現象を高精度に把握可能な電磁界シミュレーションは必要不可欠な技術である。近年,解析対象が大規模・複雑化しており,さらなる高速化が要望されている。本講演では,並列計算による高速化手法の一つとして,本質的に困難とされている時間軸方向への並列化について述べる。電気機器が有する現象の周期性に着目し,1周期すべての時刻における非線形連立方程式を一つにまとめる。この問題規模を拡大した連立方程式から,並列計算により定常解を直接算出する。本手法は,領域分割による従来の並列有限要素解析と比較して,並列計算における粒度を得やすい,データの入出力も含めて実装が容易である,並列数が増加しても反復法の収束性が極端に悪化しない,などの特徴を有する。本講演では,すべての時刻ステップを連立した問題規模の拡大方法,前処理つきクリロフ部分空間法の並列計算,時間方向に多くの時間ステップ数を要するインバータ駆動回転機の損失解析への適用結果などについて概説し,開発手法の有効性を示す。時間があれば,本研究をもとに開発したその他の時間周期電磁界の高速求解法についても述べる。