京都大学大学院 情報学研究科 数理工学コース 応用数学講座
数理解析分野


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セミナー情報 (2008年10月7日)

日時
2008年10月7日(火)15時-16時30分
場所
総合校舎406セミナー室
峯崎征隆 (徳島文理大)
全ての保存量を保つ重力 N 体問題の差分化

従来の数値積分法で重力 N 体系の運動を再現する際に問題となるものとして、
(1) 複数質点の近接遭遇時における計算精度の悪化、
(2) 数値誤差の蓄積による軌道の非再現性がある。
(1) の問題は適切な時間変換を導入し、N 体系が持つ特異性を消去することで解決される。(2)の問題は従来法では N 体系が持つ保存量を保たないことが原因であるが、これらの保存量を保つ差分スキームを構築することで軌道を高精度で再現できるようになる。しかしながら、 (1)、(2) の問題を同時に解決する方法は今まで知られていなかった。本発表では、これら 2 つの問題を同時に解決する方法として、Heggie の正則化法の修正版、離散 Kepler 運動 (Minesaki-Nakamura 2002,2004)、多様体修正法を組み合わせた数値解法を提案する。この数値解法は (解析的に)厳密に再現 N 体系が持つ Lagrange 平衡解の解軌道を保つだけでなく、choreography も高精度で再現する。