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プロフィール

なかむら よしまさ.1955年愛知県生まれ.時習館高校卒業後. 京都大学工学部数理工学科に入学する. 勉強は大学院に行ってからやりたいだけやればよい というコーチの言葉を真に受けて大半を 京大ボート部合宿所にて暮らす. 卒研と修士論文を通じて研究のおもしろさに目覚め, 以後,可積分系 (具体的に解ける非線形微分方程式系 / Integrable Systems) の研究一筋.

岐阜大学,同志社大学,大阪大学大学院基礎工学研究科/情報数理系専攻を経て, 2001年4月より京都大学大学院情報学研究科/数理工学専攻に勤務し, 大阪大学を併任している.

研究内容

非線形可積分系が開く新しい応用数理の世界

この20年余りの間に数理物理学を中心として ソリトンを含む非線形可積分系の理論が発展した. 本研究室は大阪大学大学院基礎工学研究科にあって 可積分系の理論に基づく応用解析を提唱している. 可積分系の応用解析
−Applied Integrable Systems−
をメインテーマとする研究室は国内はもとより諸外国にも例がない.

研究の現状
安定性や収束性に優れた数値計算アルゴリズムの背後に 離散時間可積分系の構造を見いだし, 逆に可積分性をメルクマールとして新しいアルゴリズムの開発や 改良を行っている. 例えば,行列の固有値計算法である Jacobi 法,QR 法, ベキ乗法の連続極限はいずれも可積分系となる.
電気電子工学や制御理論への可積分系の応用を行っている. 例えば,ノイズを含むデータ列からの Laplace 変換の近似計算や 制御システムの同定法がそれである.
可積分系の広田差分(可積分差分)の数理構造の解明に取り組み, 力学系の優れた差分スキームの開発に役立てている.

与えられたモーメントからもとの測度関数を構成するモーメント問題と 可積分系の関係を明らかにしている.
有限体上において離散可積分系を導入し, そのダイナミクスを論じてエラーを含む受信信号から 正しい送信信号を復元する BCH-Goppa 符号の復号化アルゴリズムを開発している.
情報空間の幾何学に可積分系の視点を導入し 情報空間の双対平坦構造をベースにした 線形計画問題の新しい内点アルゴリズムを定式化している.

特殊関数の加法公式に基づく新しい離散可積分系と アルゴリズムの探索を行なっている.

表面的にはこれらのテーマは相互に無関係に見えるかもしれない. 実際,それぞれの分野の研究者間の交流はほとんどないであろう. しかしながら, これらはその背後に「可積分系の数理構造」という共通性をもち, その結果,従来にない視点からのアプローチが可能となったものである.

現在までに数理科学の多くの局面に「可積分系の数理構造」があるだけでなく, 可積分系の方法論の有効性が広く認識されるようになってきた. 今後はさらに徹底してこの独自性の高い研究テーマを推進したい. 工学系に所属して数学教育と学位論文の指導を担当する 優れた若手研究者と基礎数理学の方法論を十分に身につけた若手エンジニアが 今後この研究室から輩出していくものと期待している.

解説記事

非線形可積分系の応用解析の試み,計測と制御,Vol. 31, 1992, pp. 872-877.
非線形可積分系の応用解析の展開, 応用数理,Vol. 2, 1992, pp. 330-342.
非線形問題としての情報空間, 数理科学,Vol. 366, 1993, pp. 16-20.
非線形可積分系 −無限自由度と離散時間系への道標−, 数理科学, Vol. 384, 1995, pp. 24-29.
戸田分子・Laplace変換・BCH-Goppa復号法 −可積分系によるアルゴリズム開発は可能か−, 数理科学, Vol. 405, 1997, pp. 13-19.
ソリトン理論と数値計算法, 電子情報通信学会誌, Vol. 80, 1997, pp. 1143-1146.
アルゴリズムと可積分系,システム制御情報学会誌,Vol. 43, 1999, pp. 584-592.
アルゴリズム・連分数・可積分系,生産と技術,Vol. 52, No. 3, 2000, pp. 47-49.
佐藤理論誕生の頃,数学セミナー,Vol. 40, No. 3, 2001, pp. 26-29.

最近5年間の学術論文(1994+)

京大数理工学科同期会のお知らせ

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